不動産購入を検討中の方、各自治体が公表している「立地適正化計画」を知っていらっしゃいますか?
この制度は、平成26年に都市再生特別措置法の改正により創設されたもので、人口減少社会の中で効率的で安全安心なインフラを整えるためにコンパクトな街づくりをしようとするものです。
各自治体は国の指針等に基づいて、居住を誘導する地域「居住誘導区域」と、生活に必要な商業、医療等の施設を誘導する「都市機能誘導区域」等を定めています。
この区域内であれば重点的にインフラ整備等が行われ、便利で安全な街となっていくことが予測されますが、逆にこの区域外は発展しにくいと考えられます。
現時点においては「居住誘導区域」「都市機能誘導区域」の外のエリアで一定の開発、建築を行う場合、届出制となっている程度で、厳しい制限はありませんが、便利で安全な区域に少しづつ誘導され、最終的にはコンパクトに街を作ることができるという構想です。行政は、急激な変化ではなく、長期的な視点で緩やかに誘導していくという考えのようです。
現在、「居住誘導区域」「都市機能誘導区域」の内外で土地価格の格差が明確になっているわけではありませんが、長期的には価格差が表面化してくることが考えられます。
マイホームを購入する際は「居住誘導区域」内にあるかどうか確認しみてください。
区域内と区域外では将来的に価格格差が生じてる可能性があります。
ただし、人口減少の程度等によって、この区域の範囲がより狭まる可能性もあるので、現在、区域内であっても将来的に外れてしまうことも考えられます。絶対とは言えませんが、「都市機能誘導区域」の近い「居住誘導区域」は外れにくいのではないでしょうか。
現在(令和3年7月時点)、当該地域を定めた自治体は、国土交通省の公表によると次の通りです。
各区域を示した図(埼玉県深谷市)を見てみると、
右図のカラフルに塗られている部分は「市街化区域」といって「都市計画法」によって市街化が促進される区域で、周りの白い部分は「市街化調整区域」といって市街化が抑制される区域です。
注意していただきたいのは、市街化区域内であっても「居住誘導区域」「都市機能誘導区域」に該当しない地域があるということです。
市街化調整区域はもともと原則的に建物建築が不可ですので、地価も低水準ですが、市街化区域内にありながら「居住誘導区域」「都市機能誘導区域」に該当しない地域内の土地は、将来的に資産価値を維持しにくいものと考えられます。
不動産購入を検討する際には、立地適正化計画も確認してみてください。
(高田由佳)