令和元年11月19日付・日経新聞の記事によると、
相続財産評価において「路線価」を否定する判決が東京地方裁判所において出されたとのこと。
国税庁が自らが定めた財産評価基準(土地は路線価評価方式)による評価額を安すぎると否定して、
高い鑑定評価額に基づいて課税するという、驚きの事案なのですが、
東京地方裁判所がこれを認める判決を下したのだそうです。
相続財産評価の際は、路線価評価が原則で、国税庁に鑑定評価額での納税を認めてもらうのはあくまで例外的な扱いでした。
私たち鑑定士がお役に立ってきたのは、路線価評価が時価より高く算定されてしまうような場合に、
鑑定評価書によって時価が低いことを説明しするという場面です。
確かに、路線価評価が時価と比較して大幅に低い(そもそも路線価評価は時価の8割水準ですが、)と思われるエリアがあります。
ただ、この場合も、今までは、路線価で納税しておけばよいものだと誰しもが思っていたのではないでしょうか。
今回の事案は、路線価の4倍が時価であるとして、路線価評価を否定したのだそうです。
路線価の3倍、2倍と判断される場合の扱いはどうだろうとか、
この事案は被相続人が生前に明らかな節税対策で不動産を購入しているという背景も考慮した判決であって、
土地評価だけの問題でもないのかとか、、、。
適法に納税したと思っていたのに、覆される納税者も気の毒ですし、
申告にかかわった税理士さんも大変だろうと思います。
引き続き、高等裁判所、最高裁判所と判断がなされるのでしょうか。
事案の内容、判決文の文言等からこの事案をどう解釈するか、また、実務家の先生方がこの判決を踏まえてどう対処するか、
アンテナを張っておかないといけないなと思っています。