【外資ファンド日本不動産投資拡大】
8月20日の日経新聞に「日本の不動産投資拡大-高値でも低金利で妙味」というタイトルの記事がありました。米ラサールインベストメントマネジメントなど外資ファンドが日本での不動産投資を一段と拡大する方針との内容です。
資金の借入金利と投資利回りの差(イールドギャップ)が東京はまだ2.9%あり、1%未満しか差異のないニューヨークや香港と比較すると魅力的な市場であり、日本の低金利政策が継続する様相であることをうけて海外の不動産投資資金が流れ込んでくるようです。
【地価及び不動産投資市場の現状】
東京では、2008年のリーマンショックで下落した地価が持ち直し、以来地価の上昇が継続しています。1983年から2018年の地価公示平均価格の推移はグラフの通りです。東京の地価公示平均地価は2008年頃のミニバブル期を超える水準となっています。
≪平成30年(2018年)の地価公示概要≫・・・全国平均では、住宅地で10年ぶりに上昇に転ています。商業地は3年連続の上昇、工業地は2年 連続の上昇となっています。
≪第38回不動産投資家調査(平成30年4月)≫・・・丸の内Aクラスビルの2018年4月期待利回り3.5%(2008年10月ミニバブル期は期待利回り3.8%)。今後1年間新規投資を積極的に行うという回答が90%を占めています。
不動産価格はピークに達しているとの回答が72%ですが、オフィス、レジデンシャル、商業施設、ホテルは2020年ごろまでは現在の状況が続くという回答が最も多くなっています。
当該調査の特別アンケートで、今後のネガティブ要因として最も回答が多かったのは「金利上昇リスク」であり、ポジティブ要因としては「海外投資家の一層の日本不動産投資」が最多となっています。
【金融緩和政策が持続】
日銀は2018年7月31日に開いた金融政策決定会合で、金融緩和の持続性を高めるため、長期金利の変動幅を広げることを決めました。超低金利政策の一段の長期化が避けられなくなったため、緩和の副作用を軽減するため長期金利の幅を広げ、2%の物価上昇目標の達成を21年度以降とする見通し、この先3年間は超低金利政策は継続するものとみられます。
【まとめ】
不動産価格はピークに達しているとしながらもこの状況が2020年までは続くとする投資家が多く、今後1年間の投資は積極的に行うという姿勢で、金利上昇をネガティブ要因として注視していました。その後の日銀の金融緩和政策継続の発表により、最も注視されていたネガティブ要因は当面は取り去られたと考えられ、投資意欲も維持されやすくなったものと思います。
海外ファンドの投資意欲も高く、日本の不動産投資マーケットは現在の状況が当面続きそうです。
(文責:高田由佳)